JOURNAL
Essay

Vol.01 , LUVONICAL THE FLORIST ACADEMY

LUVONICAL THE FLORIST ACADEMY

私は、花を束ねない。だからこそ、見えたことがある。

 

LUVONICAL THE FLORIST ACADEMYをなぜ始めたのか。まずは私たちの話をしたい


このジャーナルを書く私は、素晴らしいフローリストたちが所属するLUVONICALのFounderだ。だが、花は束ねない。なぜ花の会社を作ったのか。このアカデミーで何を実現したいのか。フローリストという仕事を、ずっと外側から見てきた人間として、思っていることを書いていく場所にしたい。
うまい文章を目指すつもりはない。ただ、正直に書いていきたいと思う。

はじめに


最初に言っておくと、私は花を束ねない。フローリストではない。ブーケの作り方も、花の仕事での現場の段取りも、LUVONICALのチームが持っている技術と知識を私自身は持っていない。それでも、このアカデミーをLUVONICALチームのフローリストたちと一緒に立ち上げた。理由を話す前に、少しだけ、そのフローリストたちのことを知っておいてほしい。

このアカデミーは、世界と戦えるフローリストたちと作っている


LUVONICAL THE FLORIST ACADEMYは、素晴らしいフローリストたちと一緒に作り上げている場所だ。
このアカデミーの講師を担うのは、Brand Directorの飯田諭史とExecutive Directorの仲村宙だ。彼らは、国内外のブランドやブライダルの現場で長年活動してきた、その表現力と構成力において、私が今まで出会ったフローリストの中でも、別格だと思っている人物たちだ。海外のフラワーシーンとも深くつながり、世界の文脈で花を見ることができる数少ない日本人フローリストだと思っている。また、Lecturerの植野小琴はメイン講師として壇上に立つことはないが、感覚を言語化する力に長けている。元々はLUVONICALのフローリストとして活躍していたので、現場でできることを、受講生に伝わる言葉に変えることができる、教育者としての資質を持ったメンバーだ。現在はLUVONICALのバックオフィスを支えながら、このアカデミーも裏方として共に作ってくれている。

このチームが作るアカデミーだから、私は自信を持って届けられる。

私が現場でやっていたこと


LUVONICALを立ち上げた頃、私が現場でやっていたのは荷物を運ぶことと、片付けることだった。

装花装飾の仕事現場である会場には、大量の花材と道具が運び込まれる。重い資材を台車に積んで、エレベーターで(時には階段で)上げて、慌ただしく動くスタッフに挨拶をしながら搬入口を通る。現場での仕事が終われば、同じ量を今度は逆順で車に戻す。花を触ることはほとんどなかった。

でも、その時間に見えてきたものがある。

フローリストたちがどんな判断をしているか。クライアントとどう向き合っているか。空間に花が置かれた瞬間、その場の何が変わるか。その「変化の瞬間」を、私はずっと外側から観察していた。

花を束ねる技術は持っていなかったけれど、現場が何を生み出しているかは、エンドユーザーやクライアントの目線で言語化できた。それが、私の最初の仕事だったと思っている。

技術の外側にいたから、わかったこと


現場を外から見続けることで、気づいたことがある。

仕事が続くフローリストと、続かないフローリストの差。そして、指名を受けるフローリストと、そうでないフローリストの差は、技術の差だけではなかった。「自分の表現を、相手に届ける力」の差だった。

素晴らしい技術を持ちながら、なぜか指名されない人を見てきた。逆に、技術は標準的でも、提案の言語化と空間の読み方で、繰り返し名前を呼ばれる人も見てきた。

装花装飾仕事のクライアントが本当に求めているのは「きれいな花」だけではない。その空間に意味を与えること。場の空気をつくること。言葉にならない感情を、花という素材を使って形にすること。それを届けられる人が、選ばれ続けている。

その観察が、このアカデミーの原点になっている。

「花で、際立て。」というコンセプトについて


このアカデミーのコンセプトは「花で、際立て。」だ。

目立てという意味じゃない。自分の表現に根拠を持ち、それを言語化して、相手に届ける力を持て、ということだ。

技術は教わればいつか身につくだろう。でも、表現は、自分の中にある何かと向き合わないと生まれない。そして、その「表現」を持ったフローリストだけが、指名される。名前で仕事をもらえるようになる。

このコンセプトを最もよく体現しているのは、チームのフローリストたちだ。彼らの仕事を見ていると、花が単なる素材ではなく、意図と文脈を持った表現として機能していることがわかる。

そのレベルの視点と技術を、アカデミーという形で次の世代に渡すこと。それが、私たちがこの場所を始めた理由だ。

私の役割について


私の仕事は、現場に立つことではない。

ブランドの方向性を描き、事業全体を俯瞰して、このアカデミーが長く機能し続けるための設計をすること。チームのフローリストたちが最大限に動ける環境を作ること。そして、受講生がここで学んだことを、現場でちゃんと活かせるような、出口までの道を設計すること。心が躍るような、未来への道筋を描くこと。

花を束ねない私にできることが、そこにあると思っている。

このアカデミーは、私たちがこれまでの知見を結集して一緒に立ち上げた場所だ。世界と戦えるフローリストたちが、その表現と技術を、本当に惜しみなく注いでいる。

その自信だけは、はっきり持っている。

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この記事を書いた人

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Yoshiki Ito

Founder

LUVONICALのFounder。これまで起業家として複数の事業をゼロから立ち上げ、そのうち4事業を事業譲渡。うち3事業は、現場を共にしたコアメンバーの独立にあわせて託したもので、事業を生み出すことと、人が育っていく過程を共に重ねてきた。様々な領域で挑戦を重ねながら、ビジネスの現場で行動力と構想力を磨いてきた。LUVONICALを立ち上げたのは、フローリストとしてではなく、現場の外側に立つ人間としてだった。立ち上げ当初、搬入・搬出など裏方として仕事現場に関わるなかで、指名されるフローリストとそうでないフローリストの差を、技術の外側から観察し続けた。その視点が、LUVONICAL THE FLORIST ACADEMYの原点にもなっている。現在はLUVONICALのFounderとして、ブランディングと事業設計を担い、LUVONICALと共にADSR株式会社にジョイン。事業運営から開発、組織づくり、ブランディング、マーケティングまで、全社の幅広い領域に携わる。LUVONICALでは花を束ねない人間として、フローリストたちが最大限に表現できる環境と、その仕事が生まれ続ける未来を描くことが、自分の役割だと思っている。

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